新しい建物が建つごとに、日々少しずつ更新されていく街の景色。
一つひとつの建築を知れば、この街がどこから来て、
どこへ向かっているのか見えてくるかもしれません。
どんどん姿を変えていってしまう街の中で、
一度立ち止まって、バンコクを建築から眺めてみましょう。
・今回取材に協力していただいたお二方
ジュン・セキノさん
JUNSEKINO建築事務所代表
あ建築・デザイン雑誌「art4d」編集長
まずは、バンコクの有名な建築を一挙にご紹介!
建都から234年の歴史を経たバンコクには、それぞれの時代を映す建築物が集積しています。荘厳な王室関連施設がひしめく旧市街から、モダン建築が建ち並ぶBTS沿線まで、建築好きにも、そうでない観光客にも、ぜひその目で体験してほしい名建築を紹介します。
オールドカスタムハウス
1890年に完成した旧税関事務所。1949年に役目を終えると消防署になり、その後は消防士たちの住居として使われた後、廃墟となった。イタリア人建築家ジョアキム·グラッシの設計。
住所: Soi 36, Charoenkrung Rd.
パヤタイ宮殿
1909年、ラマ5世の時代に建設を開始。本館はロマネスク様式とゴシック様式を取り入れたもの。劇場やローマ庭園、カフェなどが併設され、優美な時代の雰囲気を今に伝えている。
住所: 315 Ratchawithi Rd.
スワングラープ学校
1910年、イタリア人アンドレア·パラディオ設計の男子校。ヴェネチアのパラディオ建築を模しているとされ、通りに沿って200mの長さを誇る。第二次世界大戦で焼失し再建された。
住所: 88 Tri Phet Rd.
アナンタ·サマーコム宮殿
マリオ·タマーニョの設計で1915年に完成。迎賓館や国会議事堂として使われた。計7つのドームを配し、高さ49m、幅113m。外壁にはイタリア産の大理石が用いられている。
住所: 71 Uthong Nai Alley
フアランポーン駅
アナンタ・サマーコム殿などを設計し、ラマ5世の治世に活躍したイタリア人建築家マリオ·タマーニョによるもの。ドーム型の駅舎はドイツのフランクフルト中央駅をモデルにデザインされた。1916年に竣工、昨年100周年を迎えた。
住所: Rama 4 Rd.
ネイルソンヘイズライブラリー
1922年、マリオ·タマーニョによって建てられたネオクラシカルな会員制図書館。湿気から本を守るため壁は二重構造。漆喰の装飾やチーク材の床は建築当時のまま保たれている。※本館は改修工事中。カフェは営業中
住所: 195 Surawong Rd.
マヒドン大学
1965年築の理学部講義棟。設計はアモン·シーウォン。宙に浮いた円盤のような外観から、UFOや中国帽と呼ばれている。ソンクラー大学にも同様の円形の作品が残る。
住所: 272 Rama 6 Rd.
ナイチンゲール·オリンピック
1966年にタイで初めて開業したショッピングセンター。タイ初のフィットネスジムも備えた。古い建物が立ち並ぶ通りの中でも7階までを覆う透かし積みの外壁が一際目を引く。
住所: 70 Tri Phet Rd.
スカラシアター
1969年に開業した映画館。インドラリージェントホテルを手掛けたヂラ·シラパガノックによる。60年台後半から、海外帰りの建築家によってモダニズム建築が生まれるようになった。
住所: Siam Square Soi 1, Rama 1 Rd.
クルンタイ銀行スワンマリ支店
1970年にタイパッタナー銀行として建てられたアモン・シーウォンの作品。コルビュジエが考案したブリーズソレイユ(日除け)を配したトロピカルな外観と周りのヤシの木が調和。
住所: 20 Yukol 2 Rd.
イスラミックセンター
1960年代から70年代にかけてバンコクでもブルータリズム建築が流行。こちらのモスクの設計はパイヂット·ポンパンルック。六角形のモジュールを19枚つなげた屋根が特徴的。
住所: Soi Ramkamhaeng 2, Ramkamhaeng Rd.
ラーチャマンカラー·スタジアム
1998年築の国立競技場。設計はグランドハイアット·エラワンホテルを手掛けたランサーン·トースワン。コンクリート打ちっぱなしの荒々しい外観はブルータリズム建築の流れを汲む。
住所: Ramkamhaeng Rd.
スワンナプーム空港
2006年に開港。ドイツ生まれの建築家ヘルムート·ヤーンは、代表作ベルリンのソニーセンターをはじめ、ガラス使いに定評がある。直径27mの楕円チューブ型コンコースが独創的。
住所: 999 Moo1, Bangna-Trad Rd.
チュラーパット13
2012年築、チュラーロンコーン大学にある9階建ての講義棟。建築学部の教授3人による設計。プラモデルのようなデザインは、イギリスのアーキグラムを想起させるとも評される。
住所: 897 Banthat Thong Rd.
セントラルエンバシー
光を反射して煌めく外壁は、30万枚のアルミタイルでタイの伝統模様を再現。設計はイギリスの建築事務所AL_A。6階のOpen Houseは、代官山T-SITEと同じクライン·ダイサム·アーキテクツが設計し話題を呼んだ。
住所: 1031 Ploenchit Rd.
マハーナコーン
昨年開業した地上314m(東京タワーとほぼ同じ高さ)、77階建て、バンコクで最も背の高い建築物。北京のCCTVを手掛けた気鋭のドイツ人建築家オーレ·シェーレンによるもの。来年ルーフトップバーがオープン予定。
住所: 114 Narathiwat Rd.
いかがでしたでしょうか。古いものから新しいものまで、見応えのある建築物ばかりです!
たまにはじっくり建築鑑賞をしてみてはいかがでしょうか。
次回はこれから注目すべきタイの建築家達をご紹介します☆