2019.03.20特集バックナンバー
静かな湖畔の村を訪ねて<サンクラブリー>前編
バンコクから車に揺られること6時間。ミャンマーとの国境近くに、モーン族※の人々が独自の文化を守りながら暮らす小さな村があります。村人たちは信心深く僧侶を敬い、昔ながらのシンプルな生活を営みながら、訪れる旅人を人懐こい笑顔で迎えてくれます。山と湖に囲まれ、ゆったりとした風土が育んできたモーンの人々の日常へ。旅のはじまり、はじまり。
村人の1日
5:00 起床。クチナシの花を摘み、夕方のお寺参りの準備をする
6:00 托鉢でタンブンする
10:00 朝食
16:00 夕食 ※食事は1日2回
17:00 花を持ってお寺にお参りする
サンクラブリー後編はこちらから
タイ最長!木の橋とともに暮らす
ミャンマーのモーン族がサンクラブリーに移り住んだのは、今から 73 年前のこと。当初は60 家族でしたが、今では約 1400 家族が暮らしています。村人たちの暮らしの真ん中にあるのが、このモーン・ブリッジ。タイで最も長い木造橋で、モーン族の村とタイ人が多く住む向こう岸を繋いでいます。全長 447m の橋の上では、朝焼けとともに1日が始まり、日が沈み欄干の明かりが灯るまで、行き交う人々の姿が絶えません。学校へ通う子どもたち、橙の袈裟をまとった僧侶、デートを楽しむ若者、ただぼーっと過ごす人の姿も…。橋が人と人を繋ぎ、この橋の上で数多くの物語が生まれたことを想像させます。 ※モーン族(มอญ)はチェンマイなど北タイに暮らすモン族(ม้ง)とは異なる。自分たちの国を持たず、世界中に散らばっている。村で出会った人、もの、こと
モーン族の集落はノンタブリー県やラムプーン県にもありますが、ここサンクラブリーにはモーン文化が特に色濃く残っています。村にはここでしか出会えないものがいっぱい。さあ、橋を渡って街歩きをスタート!その①街のシンボル、モーン・ブリッジ
機械を使わずモーン族の人々の手によって建設された世界でも珍しい木造橋。計 6528 枚の木片が使われている。1985 年に完成、2003 年の拡張工事で現在の姿に。一昨年の洪水で橋の真ん中が 50m に渡って流されてしまったが、修復し元の姿に戻ったその②毎日欠かさず托鉢
毎朝6時頃になると、丘の上のワン・ウィウェーガラーム寺から僧侶たちが村に降りてきて托鉢が始まる。村人たちは家の前で僧侶を待ち、炊き立ての白米を僧侶の米びつへよそうことでタンブンする(徳を積む)。托鉢は毎朝、雨の日も欠かさず行われる。土日は多くの観光客も参加し、行列ができるほど。タンブンする際は靴を脱ぐのがマナー。その③偉大な高僧ウッタマ
モーン族の人々は信仰心が厚く、なかでもモーン族出身の高僧ウッタマを心から慕い敬っている。ウッタマは1984 年にダムが建設された際に村人たちが再移住するのを助けたり、ここで生まれたモーン族の子どもがタイ国籍を得られるよう尽力した。そのおかげで、現在ではモーン族の住民の約3割がタイ国籍を持っている。その④伝統衣装は紅白
村の人々は普段、カラフルな織物で作る巻きスカート(女性はパートゥン、男性はサローン)を履いて過ごす。小学生は月曜から木曜は制服、金曜はモーン族の伝統衣装を着て登校する。男女とも白いシャツと赤い巻きスカート・ズボンを着るのが正式なモーンスタイル。大人もお寺にタンブンに行く際に伝統衣装を着る。その⑤頭に載せてスイスイ
お盆もかごもバケツも、なんでも頭に載せて運ぶのが得意。小さな子どもからお年寄りまでみんなとっても器用。もともと、お寺にタンブンに行く際に、僧侶を敬い、ご飯を入れる器を頭より下に下ろさないようにしていたのがこの習慣のはじまりなんだとか。その⑥伝統工芸の竹細工
40 年前にミャンマーから移住したティンマオさん(86 歳)が家の軒先で編んでいるのは竹の帽子。一つ作るのに半日かかる。竹はかごやザルを編むのに重宝するほか、家の壁にも多用されている。竹を編み込んで壁に美しい模様を描くのは、モーン族ならではの技術なんだそう。その⑦おしゃれで実用的なタナカ
子どもや女性が顔や腕に塗っているのは、天然の日焼け止めタナカ。強い日差しから肌を守るミャンマーの伝統的なコスメで、タナカの木の樹皮を水で溶いて塗る。古木ほど香りがよいとされ、おみやげ屋さんには 20 年超の老木から、手軽な粉末タイプまで種類豊富に並ぶ。その⑧ピンクのメーチー
メーチーとは女性修行僧のこと。ミャンマーのお寺のメーチーたちは独特なピンクの僧服を着ていて、時々、国境を越えてサンクラブリーのモーン族の村まで托鉢に来る。彼女たちに出会えるのは、正月、ワン・プラヤイ(仏教の特別な日)、母の日(8/12)、父の日(12/5)などだそう。出会えたらラッキー!村人の1日
家の中を覗いたら、水飲んでく?ってすすめてくれた 噛みたばこに似たビンロウ 「あーそーぼ」「いーいーよ」 マグーイラアオ!(モーン族語でおはよう) 夕陽に染まる時間帯もまた美しい 村にはそこかしこに花が溢れている村人の1日
5:00 起床。クチナシの花を摘み、夕方のお寺参りの準備をする
6:00 托鉢でタンブンする
10:00 朝食
16:00 夕食 ※食事は1日2回
17:00 花を持ってお寺にお参りする
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