2019.07.11バンコクの空の下
【連載】バンコクの空の下vol.4 タイの幼稚園のはなし~我が家の選択~
フリコピ読者のみなさま、サワッディー・カー!サバーイディーマイ・カ?
ずいぶんご無沙汰してしまいました。みなさん、お元気でしたか?
日本でも梅雨入りし、今は連日九州地方での豪雨のニュースが報道されていますね。「自分の命は自分で守る」。なんだか背筋がぴんと伸ばされる言葉です。タイも雨季に入り、3、4、5月の暑さが嘘のよう!タイの雨季は、日本の梅雨のように常にしとしと雨が降っているわけではなく、晴れ間も見え、爽やかな日もあり、暑い日差しのあとに短時間のスコールに見舞われたりします。
でも今日はまるで梅雨のよう。しとしと昨夜から降り続いています。こんな日もここ数年で増えてきました。異常気象ですね。朝になっても降り止まず、「♪雨が雨が降っている~」の歌で息子を起こし、傘を差して登園しました。
そうなんです!3歳になり、息子もついにタイの幼稚園に入園しました。今回はタイの幼稚園事情についてお話したいと思います。
日本では入園したい年の前年度11月に一斉に願書を提出するようですが、タイでは幼稚園によって様々です。ちょうど去年の10、11月は日本に一時帰国していたので、公園などでお母さんたちが幼稚園について話しているのを聞くと、幼稚園の選択肢があって羨ましい一方で、願書提出日が同じため基本1つの幼稚園にしか応募できないのに、定員のことなども考えなければならず、いろいろ大変なんだなぁとも感じていました。
もちろん、タイ、特にバンコクでは幼稚園の選択肢は多いです。日系やインターナショナルスクール(以降インター)の幼稚園もありますし、タイの私立、そして公立の幼稚園ももちろんあります。駐在の方たちは日系やインターの幼稚園にお子さんを通わせているのがほとんどのようです。スクンビットエリアからだと幼稚園バスがあるので、登園にも便利です。
しかし、私たちが暮らしているモーチットの北では、日系の幼稚園はほぼありません。徒歩圏にタイの私立の幼稚園が1つとインターの幼稚園が1つあり、車やバイク、バスやタクシーで送り迎えできる範囲にタイの私立、公立、インターの幼稚園がいくつかあります。
私にとって幼稚園の楽しかった思い出の1つが、母といろいろなことを話しながら歩いた登園の時間です。手をつないで、子どもの足で15分弱くらいの道を、当時話題の人、宇宙飛行士の毛利衛さんの話をしながら歩いた記憶があります。上の妹も徒歩での登園でした。下の妹は幼稚園バスでしたが、私のなかではどうしても、幼稚園へは歩いて行くというイメージが強く、また、敢えて、常に渋滞が世界ワースト1、2位のバンコクで、車やバスで学校へ行くという選択はありませんでした。
すると、私たちが選べるのは徒歩圏のタイの私立の幼稚園か、インターの幼稚園ということになります。日本では今年10月から幼稚園、保育園が無償化されるようですが、それまでは私立の幼稚園では幼稚園によって学費は違いますよね。タイでも同じです。しかし、その違いが途方もなく大きいです。
一般的なタイの私立の幼稚園間ならば、学費の差はそこまで大きくはないのでしょうが、我が家から徒歩圏の幼稚園の一方はインター。せっかくの機会なので、園見学には行かせてもらいました。日本でも話題のモンテッソーリ教育のインターで、もちろん対先生言語は英語です。子どもたちはタイ人同士であればタイ語を使うこともありますが、それでも英語を話す力がつくのは間違いありません。園庭はありませんでしたが、こぎれいな建物で、モンテッソーリの教具がたくさんあり、魅力的でした。
小規模なインターなので、学費も比較的良心的です。それでも!半期で77,500バーツは私たちには高過ぎました。入園金が別途30,000バーツかかり、前期後期とサマースクール合わせて、年間181,500バーツの学費。日本円ではおよそ60万円です。インターナショナルスクールに60万円で1年間通えるというのは、日本で考えたら、もしかしたら安いのかもしれませんが、我が家の家計からすると高額です。考えるまでもなく、タイの私立の幼稚園に決めました。そういうわけで、息子には悪いですが、我が家には幼稚園の選択肢がなかったのです。近所に住む息子の公園友だちはタイ人家庭ですが、この8月から車で送り迎えをして、学費が年間30万バーツのインターに通わせるそうです。同じ場所に住んでいても、家庭によって選択は様々です。
私たちが入園を決めた徒歩圏のタイの私立の幼稚園は、1952年創立の歴史ある女子校で、幼稚園、小学校までは男の子も通うことができますが、中学以降は女の子だけとなります。学校の敷地内には小学生からの寄宿舎もあり、この学校に車やバイク、バスで通っている生徒たちも多いです。いい評判も悪い評判もありますが、子どもの足で10分ほどで通えるので、私たちにとってはとても便利です。
決して広くはない敷地内に建物が密集しており、しかもどの建物もみな古く、先生方もオールドミスが多く、入園手続きの際、なんだかツンケンしていて、正直、この学校の第一印象はあまり良くありませんでした。
11月に日本で焦りを感じた私は、タイに戻ってきてから早速この学校を訪ねたのですが、願書受付は年が明けてからと言われてしまいました。園見学も言い出せない雰囲気で、諦めました。教室の窓から中を覗くと、園児たちが席について、ワークブックに取り組んでいる様子。“勉強させる幼稚園”のようです。
日本では“勉強させる幼稚園”や“のびのびと遊ぶ幼稚園”など、幼稚園によって特色や雰囲気が様々ですが、タイの一般的な幼稚園は、勉強し、そしてお昼寝をするところが多いようです。入園してからわかったのですが、息子の幼稚園でも毎日ワークブック1ページが宿題として出されます。幼稚園の年少さんから宿題です。内容は塗り絵や線引きなので、楽しんで取り組めるものではあるのですが、やはり宿題として出されることに抵抗を感じてしまいます。
話は戻りますが、願書は年明けからと言っていたにも関わらず、12月のある日、学校の前を歩いていたら、「願書受付中」の文字が!タイですね~。資料を揃えて、11月と同じ先生に、無事、願書を提出することができました。
願書提出時にまさかその場で学費を払うとは考えておらず、手持ちのお金では足りなかったので、後日また学費を払いに行きました。こういうことも徒歩圏なので、ずいぶん楽です。入学金はなく、半期が14,056バーツ。サマースクールは任意で1ヶ月あたり4,000バーツです。インターとは全然金額が違います。この差はやはり、人件費と、校舎にかけるメンテナンス費でしょうか。夫が公務員なので、公立の学校に入れれば学費は無料なのですが、徒歩で行けて、それなりの学校で、学費がこの金額ならば、良しとするしかありません。
半期分の学費を払い、領収書をもらって、入園手続きは終了してしまいました。幼稚園生活についての説明や年間スケジュール、準備するものについてのお知らせなどは全くありません。聞いても「まだない」の一点張りでした。先が思いやられたことは言うまでもありません。
そんな幼稚園ですが、5月10日からなんとか毎日通っています。実際の幼稚園生活についてはまた次回、お話したいと思いますので、引き続きお付き合いください。