2017.04.25特集バックナンバー
花にまつわる物語
タイの照りつける太陽の下で色とりどりに咲き乱れるお花たち。タイの代表的な花とその物語をご紹介します。街歩きの途中で見つけてみてくださいね。
暑い季節に咲き誇り威厳を示す花: ゴールデンシャワー
タイ名のラーチャ(国王の)プルック(植物)というその名が示すように、タイの国花として認知されている「ゴールデンシャワー」。タイ国民から敬愛されている前国王・ラマ9世のお誕生日が月曜日で、そのラッキーカラーである黄色が好まれていることから、この花が国花とされたという説もありますが、国が定めているわけではありません。タイが一段と暑さを増す季節、3月~5月に街の至るところで輝くような黄色い花を咲かせます。10m以上にもなるこの高木の下に立つと、まるで黄金のシャワーを浴びているような感覚になることから、こう呼ばれています。栄光、威厳、名声など、この花の持つ意味はいろいろ。調和の象徴として、タイで愛されている花のひとつです。- 英名:Golden Shower
- タイ名:ราชพฤกษ์(ラーチャ・プルック)
- 和名:ナンバンサイカチ
- 原産地:インド
仏教と密接に関わる英知の象徴・伝説の花: 蓮
「蓮は泥より出でて泥に染まらず」という中国の成句に表わされるように、水を弾いて水面に広がる大きな葉、泥の中からすっと伸びて美しく気高く咲く花、凛としたその姿が俗世に染まらず清らかに生きることの象徴として捉えられ、宗教と密接な関係がある植物として愛されて来ました。蓮の花は仏陀の誕生にも関わりがあるとされています。タイでは日々のお供えに欠かせない存在。縁起のいいもの、美しいものの代名詞とされ、多くの文芸作品や歌の中によく登場します。蓮の茎は強い繊維を持ち、蓮糸=家族の絆、また極楽往生の縁を結ぶ糸などにたとえられることも。また仏教では、人は同じ蓮花の上に生まれ変わって身を託すという思想があり「一蓮托生」ということわざの語源になっています。- 英名:Lotus
- タイ名:ดอกบัว(ドークブア)
- 和名:蓮
- 原産地:インド
神からの贈り物・芳しく香る母の日の花: ジャスミン
ジャスミンは、タイでは母の象徴。8月12日の母の日にはジャスミンの花輪を贈ったり、家々に飾られます。タイでは1年を通してこの純白の花が咲いており、よい香りが長く続くことから「途切れる事のない純粋な母の愛情」に喩えられています。お供えの花としてもよく用いられますが、これは母と仏陀は同じくらい大切であることを象徴しています。花首をつないで作る花輪(マーライ)にも、ジャスミンが使われます。バラやマリーゴールドなどとともに作られたマーライは、タクシーの中やホテルのベッドの上などにさりげなく置かれ、フレッシュな香りを放ちます。実はジャスミンには多くの品種があり、中国のジャスミンティーに使うのはアラビアンジャスミン別名「マツリカ(茉莉花)」で、中国茶にこの花の香りを移して作られます。ポプリに向くのはスタージャスミンという品種です。タイではジャスミンの木を北西の方向に植えると運気が上がり、人から慕われるようになると言い伝えられています。- 英名:Jasmine
- タイ名:ดอกมะลิ(ドークマリ)
- 和名:マツリカ
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原産地:亜熱帯地方
王女が改名して人気上昇・美しい女性を表す芳香花: プルメリア
その昔、ラントム(ลั่นทม)と呼ばれていたプルメリア。タイ語で”ラトム”は悲しい、辛いという意味があり、響きが似ていることから縁起の悪い花とされて悪いイメージが持たれていました。しかし、美しいこの花に魅せられたプラテープ・シリントン王女が「リーラワディー(美しい女性の意)」と改名をしてから人気の花になりました。日本ではアロマテラピーの精油「フランジュパニ」の原料として使われています。清楚な美しい花はハワイではレイに、タイではスパやホテルのシンボル・フラワーなどに使われていますが、花弁の色は白をはじめ、ピンク、黄色、赤など50種類にも及びます。みずみずしく艶やかな色をした花弁が、クルクルと舞いながら散る様子もまた可憐。タイ東北部のイサーン語やラオス語では「チャンパー」と呼ばれラオスの国花にもなっています。色とりどりの愛らしいプルメリアはタイの乾季の終わりを告げる花でもあります。- 英名:Plumeria
- タイ名:ลีลาวดี(リーラワディー)
- 和名:インドソケイ
- 原産地:中米
いかがでしたでしょうか。花それぞれにいろいろな物語があるんですね。街で見かけた時に、お友達やお子さんに教えて見てはいかがでしょうか♪