2017.08.30特集バックナンバー
あの人に会いタイ ③ストリートアーティスト P7さん
フリコピ特集「あの人に会いタイ」。
今回はストリートアーティストとして活躍するP7さんをご紹介します。
ストリートアーティスト P7(ピーセブン)さん
年々、世界からの注目が集まっているタイの現代アートシーン。なかでも、ストリートアートの分野を牽引してきた若手アーティストP7さんにお話を伺いました。タイの街中の風景を塗り替えてきた彼が日本で感じた手応えとは? ストリートアートを始めるようになったきっかけは? 子どもの頃から絵を描くのが好きでした。はじめは写実的な絵やコンテンポラリーアートをやっていて、タイ国内だけでなく、海外で発表する機会もありました。2002年に、それまでのスタイルや名前(ピー・ピーラポン)を捨ててもっと新しいことをやりたいと思うようになり、今のようなP7スタイルのアートを生み出しました。まだタイにストリートアートが入ってきたばかりの頃です。 P7にとってストリートアートとは? ストリートアートは自由な表現の芸術で、公共の場で自己主張をすることがその始まりです。僕の作品は、グラフィティとストリートアートをミックスさせ、ペインティングのコンセプトも取り入れています。僕は同じ作品は描きません。人によっては同じものを何回も作ったり、一つのコンセプトの元にいくつも作品を描いたりしますが、僕のスタイルではないと思っています。 作品にコンセプトはありますか? 今はありません。決めていた頃もありましたが、それに沿うのではなく自由に描きたいと思ったからです。自分が何を描きたいかははっきりとしているので、下描きはせずに即興で描いています。コンセプトがない分、観る人の気持ちを尊重しています。 作品が社会に貢献していると思うことはありますか? 僕は“古い”場所に作品を制作するのが好きです。クラシックというのではなく、古ぼけて退廃してしまったような場所。ツタが全面にからみついた壁とか、取り壊される寸前の割れた煉瓦の壁とか。色彩明るい自分の作品をその廃れた壁に描くことで、その違いがはっきりと現れます。そのギャップで、くすんだ色の古い廃れた壁がまた興味深いものになります。そういった意味では、少し社会にお返ししているところもあるかな。 日本で作品を発表する機会はありますか? 最初は2015年に東京のギャラリーで行われた「THE THINGS」という展覧会でした。日本人アーティストとタイ人アーティストとの合同展です。僕はポートレート作品を5枚展示しましたが、たくさんの人が観に来てくれました。こんなに反響があるとは思いませんでした。自分の作風が日本ではあまりないものだったからかもしれません。それから、新宿のヒップホップクラブで行われたライブペインティングのショーに出たこともあります。クラブに遊びに来ている人たちが、僕たちの周りを取り囲んで観てくれて、とても手応えのあるショーになりました。 アーティストを目指している人に何かアドバイスを 僕にとっての成功とは、自分が決めたことをやり遂げるということです。ですが、芸術にはどこが一番上というところはありませんから、自分の仕事の中に成功という言葉はないですね。好きという気持ちを持ち、常に鍛錬し続ければ、見せようとしなくても自然と人が自分の世界を見てくれます。流行を追いかけないことも大事です。流行に沿ったものばかり作っていると、技術は向上しないし、特徴もなくなってしまいます。 近々作品を発表する機会がありますか? 9月1日から新宿で展覧会がはじまります。A4の紙4枚にフリースタイルで描く予定です。ポップな色遣いが印象的。平面だけでなく立体作品も多い Photo:P7 プロフィール タイのストリートアートの先駆者。BMX、スケートボード、海を愛する。1997年に初めての個展を開き、ロサンゼルスやケルンなど海外での展示会にも参加。サヤームディスカバリーのスカイウォークで立体像が見られる。 Instagram:_p7_
次回はタレントのReikoさんをご紹介します。お楽しみに!