オーさん&サーイさんカップルにインタビュー
左:オーさん(28歳/ファイナンシャルアナリスト) 右:サーイさん(29歳/グラフィックデザイナー)
Q: 自己紹介をお願いします。
オー: オーです。プーケット出身、28歳です。バンコクでファイナンシャルアナリストとして働いています。
サーイ: サーイです。サムットプラガーン出身、29歳です。グラフィックデザインやウェブデザインの仕事をしていて、アサンプション大学の修士課程にも通っています。
Q: お二人はどこで知り合ったのですか?
オー: 去年の9月からアサンプション大学で一緒に勉強していました。
Q: 二人の関係を進展させたきっかけはなんですか?
オー: 大学の授業後に、一緒に本を読んだり課題をしたりして、一緒にいる時間が多かったので、どんどん仲良くなっていきました。
サーイ: 一緒に勉強した後に、興味がある話題についてよく話しました。例えば、私は写真を撮るのが好きなのですが、オーも写真に興味があるということが分かったので、彼女に写真のことを教えたり。写真や旅行、食べることなど、共通の趣味が多かったので、たくさん話すようになり、一緒に遊びに行くことが増えました。
Q: 二人は以前に男性とお付き合いしたことはありますか?
オー: あります。今回初めて女性と付き合いしました。
サーイ: あります。私は女子校に通っていて、ずっと女の子の中で育ってきました。大学の時に、男性の恋人ができました。
Q: どうして女性と付き合おうと思ったのですか?
オー: 私はどの性別の人と付き合わなければいけないとは限定していません。この人だ!と本当に思う人と付き合うだけです。
サーイ: 私は男性も女性も好きになったことがあります。最後に付き合った男性にはすごく嫌な思い出があって…。その後、オーと出会って、彼女は友達でもあるし、気持ちを分かり合える仲でもあるし、話していてとても気が楽です。
Q: どちらが先に好きになったのですか?
サーイ: お互いにかな?親しくなってきた頃、お互い気持ちを聞けずにいました。でも、彼女が私に好意を抱いてくれているのは態度で分かったし、私も彼女に好意を持っていました。
オー: 最初は、彼女が女性と付き合ったことがあるかどうか分からなかったので、気持ちを表せずにいました。でも行動やLINEの返答で、そうかなって思ったので、正直に告白しました。
Q: 初めてのデートはどこに行きましたか?
オー: 新年のカウントダウンです。サーイが写真撮影の仕事があり、私も一緒に行きました。その時に、彼女といることがすごくいいと思い、彼女への見方も変わりました。まだ付き合っていなかったにも関わらずです。
サーイ: 付き合い始めてからは、パタヤーなどいろんな場所に一緒に行っています。
Q: 家族や友人が知った時、どのような反応でしたか?
オー: 友達はすごくショックを受けていました。親しい友達も「本当?」って。長く続かないよ、とも言われました。でもそういう人たちとそれで縁を切ろうとは思わなかったので、今も仲良くしています。はじめは信じていなかった友達も、今は信じています。家族は、母が知った時は驚いていました。父は古い考えの人なので、言ってません。サーイを家に連れて行ったことはあります。とっても親しい友達だと言って。母は大丈夫でした。
サーイ: 女性と付き合い出したことをはじめは誰にも言いませんでした。その前に女性と付き合った時も自分から言ったことはありません。オーと一緒に撮った写真をfacebookにたくさんアップするようになって、それで友達も気づいたのか、「恋人なの?」と聞いてくるので、そうだよって答えています。家族に関しては、私もオーを家に連れて行ったことがありますが、両親には本当のことを言えていません。両親もfacebookで繋がっているので、知っているかもしれませんね。聞かれた時には、隠しませんよ。両親はどちらかというと、こういうことにオープンです。でも聞かれなかったら、言いません(笑)。
オー: 私も同じです。もし父が聞いてきたら、たぶん言うと思います。私ももう大人ですし、自分の人生がありますから。
Q: 同性愛に対する世間の考えと現実は違いますか?
オー: 違いはないと思います。他の人がどう考えているかわかりませんが…。私自身はどの性の人と付き合わなければいけないとは決めていないので、同性愛が珍しいことだとは思っていません。女性を好きになったことに自分自身も驚いていません。彼女が好きだし、彼女の心や彼女すべてが、彼女であることが好きです。
サーイ: 私は時代が変わってきたと思います。社会に様々な性があるということをみんなが分かってきた。それはおかしなことではなくなったということです。特に若い世代は、周りにLGBTがいることに慣れています。でも、まだ広く容認されているとは言えないかもしれません。
Q: LGBTの権利やカミングアウトについて以前とは変わったと思いますか?
オー: 私は女の子より男の子が多い学校に通って、その時に男子と男子が付き合っているのを見ていました。だからそんなに変なことだとも思っていませんでした。
サーイ: 私も共学の学校に通った時期に、トランスジェンダーの友達がいました。その子は友達に「おかま!」っていじられてました。
オー: 女性と女性が付き合っているのと、女性と男性が付き合っているのとで違う対応をされるのはおかしいと思います。それらが違うものだと思ったことはありません。
Q: 若い世代のLGBTに伝えたいことは?
オー: 私は自分に自信があるので、私がどの性別であれ、人は私を受け入れてくれると思っています。性別を選んで生まれることはできないから、親はそれを理解して受け入れる必要があるし、その子を無理矢理変えようとしないでほしいです。いくら親であっても変えることはできないんです。その人はその人ですから。
サーイ: 私もそう思います。どの性別であっても、いい人であれば十分。好きなことを見つけて、社会の役に立つことをする、それで十分だと思います。人に頼らず、誰の荷物にもならない、人に迷惑をかけない、自分が好きなことを一生懸命やる、それだけです。
Q: 同性婚を認める法律があればいいなと思いますか?
オー: 私は法律で認められるということにあまり固執していません。周りの人が私と相手のことを認めてくれればそれで十分です。たとえ男性と付き合っていたとしても、結婚の必要はないと思っています。結婚しても別れることはありますから。周りの人が認めてくれれば、それでいいです。
サーイ: 結婚はみんなに「この人とこれからの人生を共にする」と知ってもらう宣言でしかないと思います。みんなに知ってもらう必要がなければ、結婚する必要はないと思います。
オー: 古い世代と新しい世代とでは結婚に対する考えが違うのかもしれません。私たちにとっては、結婚は他の人と幸せを共有するよいことだと思います。でも少し前の世代は、結婚は親の名声などに関わってくるものと考えていますね…。
Q: トムは一般的に「女性として生まれたが男性になりたい人」と捉えられています、正しいですか?
サーイ: トムは男性のように振る舞う人のことです。
オー: 私はサーイをトムであるとか何であるとは見ていません。彼女は彼女。彼女がどの性別なのかではなく、彼女を彼女として見ています。
Q: 周りにLGBTはたくさんいますか?
サーイ: あまり多くはないですが、います。LGBTの友達は、オープンな考えの人が多いので、どんな話でもできるし、どんな考えでも聞き入れてくれます。
オー: ゲイの友達がたくさんいます。なぜかよく話しかけられるのですが、彼らは自分たちと同じように自分に自信がある女性が好きなのかもしれないですね。LGBTの多くは楽しいことやパーティーが好きです。自分自身を受け入れているから、人生を思いっきりオープンに生きることができるのかもしれません。
Q: タイはLGBTに優しい国だと思いますか?
オー: アジア諸国では、タイ以外の国はあまりオープンではないですね。タイは、昔よりもそしてアジアの近隣諸国よりも、オープンだと思います。
サーイ: 今のタイ人はむしろ好んでいると言ってもいいかもしれません。LGBTは自己表現を顕著にするので、他の人から見ると、話しやすいし、関わりやすい。そういう人たちにはフレンドリーに接する人が多いように思います。
以上、オーさん&サーイさんカップルのインタビューでした!
次回はインタビュー最終回です!お楽しみに☆