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ワキサカコウジ

ワキサカコウジのなりゆき観光コラム「こんつわタイランド」第3回

日本ではすっかり定着した感のある動物カフェ。最近では猫やフクロウだけではなく、フェネックやカワウソなどの珍しい動物がいるお店も珍しくありません。一方、ここタイでの動物カフェ事情はどうでしょうか。お国柄からすると、象や虎などが店内をウロウロしているお店があってもおかしくはありませんよね。たまに店の奥から謎の悲鳴が聞こえたりするのもご愛嬌。が、実際に調べてみるとそんなお店は存在せず、日本と同様の癒し系動物カフェならたくさん見つかりました。そしてその中に日本では珍しい、大型犬と触れあえるお店があったのです。

 …というワケで、向かったのはBTSアーリー駅から徒歩で20分ほどの辺りに佇む一軒家。ここはなんとシベリアンハスキーと触れあえるカフェなのです。
店名が「TRUE LOVE」ですから、振り返るといつも犬が笑ってくれそうですよね(意味がわからないお友達は置いてくね)。開店の1時間前に到着したのですが、すでに数組が待っているほどの人気ぶり。お店に入る際には入場料の500B(2ドリンク付き)を支払い、書類にサインをします。内容をよく読まなかったので、何かの連帯保証人とかになった可能性もございますが、今からシベリアンハスキーと遊べると思えば些細なことですよね。店内には広い中庭があって、時間になればそこに犬達が出てくるとのこと。魅惑のお触りタイムの開始を待ちます。

 開始5分前になると、店内のモニターに犬の名前紹介や注意事項などの映像が流れます。そして…いっせいに30匹以上のシベリアンハスキー(他の犬種も少し)が登場。で、でかい!さすがロシア出身!体格的にはもちろん、なんなら口論ですら負けるかも。などと言いつつモフモフ。モフモフ。見た目より人懐っこくてかわいいじゃありませんか。あらま、お腹なんかみせちゃって。

モフモフ。モフモフ。嫌な顔もせず無抵抗で、お触りし放題。こんなお店は歌舞伎町にだって滅多にありませんよチミ。あぁ癒される。おじさんになると、もはや犬と保険屋さんくらいしか優しくしてくれないもんね。


 ちなみに中庭には、スタッフさんが犬達を集めて写真を撮ってくれるブースもあります。ここは順番待ち状態。僕も並んで撮ってもらったのですが、たくさんの犬に囲まれて人気者になったような気分です。こんなに囲まれたのは小学生の時、学校に巨大な消しゴムを持っていった時以来でしょうか。そしてちょうどお触りタイム(1時間)が終了。合図とともに振り返りもせず一気に犬舎に戻るシベリアンハスキー達。そのドライさにちょっぴり切なくなって、さっき撮った写真を確認したら、どの犬も僕ではなくエサを持ったスタッフのほうしか見てなかったよね。早めに夢から覚めて良かったです。
借金もしてないのに、毎日お触りされないといけないなんてそりゃあ犬も大変だよね。


wakki_face ワキサカコウジ
イラストレーター

武蔵野美術大学卒業後、イラストレーターとなり、雑誌や広告を中心に挿絵を提供。 『週刊文春』での連載は10年に及んだ。 『an・an』でのエッセイ連載をきっかけに執筆活動も行う。 毎年七夕に見つけた面白い短冊を、ブログやインスタで紹介する「短冊チェック」という活動もしている。
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