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ワキサカコウジ

ワキサカコウジのなりゆき観光コラム「こんつわタイランド」第4回

バンコクの交通渋滞のひどさは世界的にも有名ですが、そんな時に活躍するのがバイクタクシー (以下バイタク) でございます。

僕もよく利用しますが、 スイスイと車の間を通り抜けて渋滞知らず。 急いでいる時には助かりますよね。 でも改めて考えると、日本人にとってはちょっと不思議な交通手段だと思うのです。料金は交渉制だし、 初対面でいきなりの二人乗り。 なんなら車のミラーをこすってもマイペンライ。 …というワケで今回は、10年ほど前に初めてバイタクに乗った時の思い出話でございます

 その日は観光で疲れ、 最寄り駅からホテルまでの距離が遠く感じたのです。 そこでふと目についたのがバイタク。 なんだか便利そう!とガイドブックで利用方法を調べ てみると、 まずは路上でたむろするバイクの集団 (運転手ともいう) に声をかけるのだとか。 え?海外で知らないバイクの集団に自分から声をかけるなんて正気じゃありませんよね。 日本ですら北関東だと山に埋められ、 川崎だと海に沈められると聞いた事がございます。 恐る恐る声をかけてみると、 手前にいたおじさんが振り向きました。 都こんぶを口に含んだ時のようなお顔をされております。 こ、 これが初めて僕が身体を委ねる男…う〜ん…チェンジで。 などと言ってる場合ではありません。 行き先を伝えると料金は60Bとのこと。 相場が全く分かりませんが、 試しに、 この世の終わりみたいな顔をして値切ってみたら、40Bになってラッキー! (それが20B程度の距離だと知るのは後の事である)

おじさんに促されてバイクの後ろに跨がり、 いざ出発…なのかと思ったら、 そこでヘルメットを渡されました。 ん?街でバイタクを見る限りでは、 お客さん側がヘルメットをかぶっている例は少なかった気がします。 という事は安全意識の高い運転手さんなのかも知れません。 あぁ良かった。 野球帽みたいな形の簡易的なヘルメットですが、 ないよりはマシだもんね。アゴの下でストラップをパチっと止めて…そうそう、 これで良し。 あれ?でもなんだろうこの気持ち。 思春期みたいにドキドキするぞ。 ってまぁ、 そりゃそうだろうね、ストラップの重要な部分が輪ゴムなんだもの。 …なんと通常は金属のリングであろう部分が、 謎の輪ゴムになっていたのです。 それも細いのが一本。 安全器具をつけたはずなのに、 情緒のほうは不安定になるよね。

「輪ゴムじゃん!ここ輪ゴムじゃん!」 と指摘してみたのですが、 もちろん日本語は通じず。 むしろテンションが上がって 「ゴー、 ゴー」 などと言い出したと思ったのか、 アクセル全開で飛び出したよね。 風を切るバイク。伸びて切れそうな輪ゴム。 両手で必死に抑えるヘルメット。 ねぇおじさん、 これって保険とかどうなってます?…

そんな思いで胸がいっぱいの初体験だったのです。
なんだかんだよく乗りますが、行き先が天国にならないといいな。


wakki_face ワキサカコウジ
イラストレーター

武蔵野美術大学卒業後、イラストレーターとなり、雑誌や広告を中心に挿絵を提供。 『週刊文春』での連載は10年に及んだ。 『an・an』でのエッセイ連載をきっかけに執筆活動も行う。 毎年七夕に見つけた面白い短冊を、ブログやインスタで紹介する「短冊チェック」という活動もしている。
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