2020.05.20ワキサカコウジ
ワキサカコウジのなりゆき観光コラム「こんつわタイランド」第6回
死んでしまいたい…皆さんはそんな気持ちになった事がありますか?僕は恥ずかしさで死にたくなった事が多いです。古くは小学生の頃、授業参観中にお漏らし(小)をしてしまい、教室が騒然となった時。あるいは学生の頃、電車内でお漏らし(大)をしてしまい、異様な匂いの元を乗客達が目で探し始めた時。そして昨年、旅先でオナラをしたら、ちょっぴりタピオカみたいなのが出ちゃった時。全然活躍しない肛門括約筋と生きていく自信がないです。…などと、全部シモの話にしたら面白いと思った幼稚さが恥ずかしいので死にたいです。しかし人の命は一度きり。そんな簡単に死ぬ訳にはいきませんよね。お試しで死ねたらいいのに…。
というワケで、やや不謹慎な展開でご紹介するのは、BTSのアーリー駅からほど近い『KID-MAI DEATHAWARENESS CAFE』。ここは「死」に関する体験ができるカフェなのです。店内には仏陀のオブジェや骸骨の模型があったり、壁には様々な言語で「死」という単語が書かれていたり。メニューにも「DEATH」や「PAIN」といった名前のドリンクが並びます。こうして文章にしてしまうと、売れないバンドマンがメンヘラ女子を騙して開いたバーのようですが、全然そんな雰囲気ではありません。ここは高円寺じゃないですもんね。実際は広々としたおしゃれなカフェで、店員さんも若い女子でございます。
さて、ここでどんな体験ができるのかと申しますと、店内に棺桶(もちろんタイ風)が置いてあり、なんとその中に入れるのです。なんだそんな事か…と思ったそこの奥さま、よく考えておくんなまし。生きたまま棺桶に入るチャンスなんて、死んでもないですよね(ややこしい表現))。だってもし親戚のお葬式とかで、何食わぬ顔でご遺体を外に出し、ちょいと失礼します …なんつって棺桶に入ったら、狂気の沙汰ではありませんか。親戚中が大騒ぎ、なんなら大きな病院に連れて行かれるよね。…そう考えると、いつでも棺桶に入れるなんて凄い事だと思いませんか?
ガラス張りの小部屋の真ん中に置かれた棺桶。店員さんに促され、僕もその中に横たわってみました。不思議と落ち着きます。店員さんから「3分間、死を楽しんで」と言われ、蓋を閉められました。当然ですが中は真っ暗。せっかくなので暗闇で死について考えてみましょうか。もしこれが本当のお葬式だったら。棺桶の周りに誰がいるだろうか。この世に何かを残せただろうか。奥さんや子供や犬は泣いているだろうか。そもそも奥さんも子供も犬もいないんだった…。てゆうか3分間て思ったより長いな、と少し不安になった頃に蓋が開くと、光の眩しさと店員さんの笑顔が目に飛び込んで来るのです。なんだか意外と生まれ変わった気分になれたので、皆様もぜひ一度体験してみてはいかが?
棺桶の底が少し壊れていた事なんて、死と比べれば些細な問題だと教えてくれました。
というワケで、やや不謹慎な展開でご紹介するのは、BTSのアーリー駅からほど近い『KID-MAI DEATHAWARENESS CAFE』。ここは「死」に関する体験ができるカフェなのです。店内には仏陀のオブジェや骸骨の模型があったり、壁には様々な言語で「死」という単語が書かれていたり。メニューにも「DEATH」や「PAIN」といった名前のドリンクが並びます。こうして文章にしてしまうと、売れないバンドマンがメンヘラ女子を騙して開いたバーのようですが、全然そんな雰囲気ではありません。ここは高円寺じゃないですもんね。実際は広々としたおしゃれなカフェで、店員さんも若い女子でございます。
さて、ここでどんな体験ができるのかと申しますと、店内に棺桶(もちろんタイ風)が置いてあり、なんとその中に入れるのです。なんだそんな事か…と思ったそこの奥さま、よく考えておくんなまし。生きたまま棺桶に入るチャンスなんて、死んでもないですよね(ややこしい表現))。だってもし親戚のお葬式とかで、何食わぬ顔でご遺体を外に出し、ちょいと失礼します …なんつって棺桶に入ったら、狂気の沙汰ではありませんか。親戚中が大騒ぎ、なんなら大きな病院に連れて行かれるよね。…そう考えると、いつでも棺桶に入れるなんて凄い事だと思いませんか?
ガラス張りの小部屋の真ん中に置かれた棺桶。店員さんに促され、僕もその中に横たわってみました。不思議と落ち着きます。店員さんから「3分間、死を楽しんで」と言われ、蓋を閉められました。当然ですが中は真っ暗。せっかくなので暗闇で死について考えてみましょうか。もしこれが本当のお葬式だったら。棺桶の周りに誰がいるだろうか。この世に何かを残せただろうか。奥さんや子供や犬は泣いているだろうか。そもそも奥さんも子供も犬もいないんだった…。てゆうか3分間て思ったより長いな、と少し不安になった頃に蓋が開くと、光の眩しさと店員さんの笑顔が目に飛び込んで来るのです。なんだか意外と生まれ変わった気分になれたので、皆様もぜひ一度体験してみてはいかが?
棺桶の底が少し壊れていた事なんて、死と比べれば些細な問題だと教えてくれました。
ワキサカコウジ
イラストレーター
武蔵野美術大学卒業後、イラストレーターとなり、雑誌や広告を中心に挿絵を提供。
『週刊文春』での連載は10年に及んだ。
『an・an』でのエッセイ連載をきっかけに執筆活動も行う。
毎年七夕に見つけた面白い短冊を、ブログやインスタで紹介する「短冊チェック」という活動もしている。
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